草花ノート 2013年11月

ナツハゼ

10月終わり、清里では野生を見たことがないナツハゼの美しい木を
見つけました。野生ではなく寂れたテニスコートの横に植えられた
ものです。ナツハゼはツツジ科の落葉低木で赤みを帯びたスズラン
のような花を鈴なりにつけて、横に広がる枝ぶりも緑の葉も美しい。
秋には見事にはが紅葉して真っ黒な実は甘酸っぱく、食べられる。
ナツハゼはツツジ科のなかのスノキ属の仲間。この仲間にはスノキ、
クロマメノキやクロウスゴなど食べられるものが多い。ブルーベリ
も同じ科で同じ属。皆、可愛いベル型の花をもつ。
ナツハゼもちょうど熟しているところで、深い赤茶の葉に黒い実。
絶妙な色の組合せがきれいなだけでなく美味しそうです。
秋の実だけでなく葉や花にいたる先端までの枝の線が細く、夏の
緑の時いける素材として、とてもいいものです。
いけばななどの花材として売っていることもありますが、山の野生の
ものなどそんなにすぐに成長するもののようには思えません。
ゆっくり育つからこその枝ぶりの繊細さ。いけるなら、形のよい枝が
一本あれば充分と思える素敵な木です。